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毎年この時期になると各地でのロックフェスティバルが恒例となってきた。その筆頭格はやはり『フジロックフェス』。なぜか今は富士山を離れ苗場で行われている。洋物和物併せベテランからニューフェイスまで、青空の下、数10万人で聴くというのを一度体験したいもんだが、初老の体力じゃちょっとな…。ヤッコあたりは以前行った言うてて羨ましかった。
今回のこの手の夏イベントで一番ビックリの話題はルースターズの再結成&解散ライブだ。 九州・博多のロックシーンというのは伝説のサンハウスに始まり(シーナ&ロケットの鮎川誠のいたバンドね。『ちゅらさん』で山田・恵達・孝之にギターを教える役、かっちょ良かった)、80年代に入り「めんたいビート」の名で多くのバンドがマスコミに取り上げられた。中でも三羽烏と呼ばれたのが、ロッカーズ、ルースターズ、モッズだ。
ロッカーズはご存知、陣内孝則のバンド。当時からちゃらちゃらカッコつけててカッコ悪かった。モッズは根強いファンもいて随分持ち上げられてた時期もあったけど、んー、いいと思ったことなし。 ルースターズも初期はストレートなロックンロールバンドって感じで、またリーダーでボーカルの大江慎也が地味なチンピラ(笑)みたいなルックスでさほど興味を持たなかった。 その後雑誌などでその音楽性の変化(深化)が取り上げられても我関せずでいたら、ある晩偶然テレビで同時期のルースターズのステージをやってて見たんだわ。 異様だった。1曲だけだったんだけど、アコギを持って歌う大江の眼が完全に宙に彷徨っちゃってて、尋常じゃない世界。「めんたいビート」なんて軽薄な括りからとんでもない所までいつの間にか来てしまっていたのだ、ルースターズは。
あわててリアルタイムの音を聴き、関連資料を漁った。どうやら直近のライブではステージに病室を組み、ベッドから大江が登場するパフォーマンスをしたらしい。そして近々発売されるニューアルバム『Φ(ファイ)』がバンド史上最大の問題作らしい…。
その病室ライブはこちら(壮絶です)→http://www.youtube.com/watch?v=Zudbzh91s2s
『Φ』は日本のロック史上最も美しいアルバムだと思っている。ここまで読んで察した方もいるかと思うが、このアルバムの制作段階で大江慎也は精神に失調をきたし、作詞作曲には数曲で関わるのみ。ボーカルを他のメンバーが務めた曲もあるほどだ。 音程もままならない不安定なボーカル。バンドとして最悪の状態で作られたにもかかわらず、大江を支えるバックの透明なサウンドが絶妙で、名曲「VENUS」から架空のサウンドトラック「PUNISHMENT」まで、アルバムは崖っぷちで奇蹟の完成度を誇る。元サンハウスの柴山俊之の書いた詞は、当時の大江の心象風景を的確に切り抜いている。
星は空に満ち足りて 瞳の中に降りそそぐ そこは愛に溢れた 女神が住んでいるという 雲の隙間を浮遊する 愛のオーラはきれいな蝶 もしも羽根があったら 今すぐ飛んで行けるのに 「VENUS」 音源(ホント美しいです)→http://www.youtube.com/watch?v=Vl6E8tyMiYg
だが、大江の症状は回復せず、この時点でリーダー兼ボーカリストの脱退という異常な事態を迎えることになる。残ったメンバーはこの後数年、バンドを継続させ88年に解散となった。
大江脱退から約20年、明後日7月30日、やむを得ずの過去に落とし前をつけるべく、ルースターズは『フジロックフェス』で再結成され、再び解散(!)するという。結成メンバーでとのことだからバリバリのロックンロールパーティとなるのだろうか。大江も元気らしい。ドラマチックやな。行きたいナー!
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2004/07/28
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